2017年5月6日土曜日

句会報 第14回

今回は仕事と俳句というテーマで言葉と向き合ってみる。
人生を左右するほどの重要度を持つ言葉を厳選し、最も身近な存在である仕事という行為を今一度、俳句を詠むのと同じ感覚で見直してみようという企画である。

10つの言葉をキーワードとしてサクサク話を進めていく。

1、 ほうれんそう
まずは、一番最初に必要な能力として「ほうれんそう」がある。
報告、連絡、相談、それらを並べるとなぜかベジタブルな野菜になり、頭の中が、その野菜の名前の事で一杯一杯になる。
ほうれんそうを極めて行くことが、仕事そのものであると言える。その為には、個人的な私的な感情を常にかなり疑う必要があり、安易に物事の真相を決めつけてしまうと、かえって自分自身に全てのダメージが跳ね返ってくる事になる。

2、 会話の能力
・英会話教室よりも会話教室に通いたい   祖啓
そのような、句が詠めた。
会話ができないと、当然ながら仕事は、困難や混乱を極めます。

3、 電話応対
ほうれんそうと、会話の能力がある程度、最低限こなせるようになって、いよいよ、電話という道具に手をつける事ができる。携帯電話も、固定電話も、まさしく、神の裁きを下すほどの影響力を持つ機械として、この社会に世の中に君臨している。
責任を負う。電話に出れば電話に出るほど、その人は、たくさんの責任を負う。そのような感覚を実感する事ができる。

4、 セコム
ある程度は一人前の仕事ができたと思っても、ここに、セコムという問題が立ちはだかる。
いわゆる、セキュリティー、自分自身の防犯意識が大丈夫だったのかという事について直視している心境になるのだが、最上の防犯体制という物は、プロの組織を味方に加えサポートしてもらったとしても、途方も無く難しい。

ここに、セコムに関する句を列挙する。

・セコムは恋人なのか?
・セコムとのコミュニケーション密になり
・セコムらは肉親よりも駆けつける
・セコムに入社したい


あまりにも、防犯の事ばかり考えすぎていると、「セコムしてますか?」というCMが、この上ない無上の一句であるように思えてくる。尾崎放哉の「墓の裏へ廻る」という一句に匹敵するくらい、「セコムしてますか?」という一言に無限の謎を感じ、動揺してしまう自分がいた。

5、 飲酒運転
酒は人生をあきらかに、豊かな物にしてくれる産物であるが、飲酒運転という事実に真摯に向き合うとなると、あらゆる視点で、家族や友達であろうと、加害者と被害者が大量発生し、気が付けば、悪夢のような設定が誕生する事になる。
・飲酒運転ならではの隣組    祖啓

6、 ドタキャン
仕事に関するキーワードの中でも、いよいよ、最も魅力的な部類の言葉が登場した。
一年中仕事をし続け、ひたすら、仕事の事ばかり考えていると、いつしか、「ドタキャン」という5文字が、人生を湾曲させるほどの影響力を持つようになる。

・みんなドタキャンみんなドタキャン多いよお (自由律句らぶに投句)

実は、自分自身も、いままで過去の様々な時に、自覚していないままに、ドタキャンをしてきた事に気がつかされる。
ドタキャンとは!誠に止むを得ぬ決断ではあるが、しかし、その影響力のなんと強烈であることか。
アイタタタ・・・!

7、 ダブルブッキング
ドタキャンと並び、脳内に発生すると強烈なインパクトを持つ言葉が、ダブルブッキングである。これは、どちらかというと、仕事をしている側の人間が、作り手になってしまいやすい。
あまりにも積極的に仕事をしすぎた結果、頑張りすぎた結果、うっかりと、自分自身がダブルブッキングなるものを誕生させてしまった。その後始末、はたしてどうすれば良いのか?
浮気がばれてしまった男女交際と同じレベルでの、脳内の切り返しを求められると思われる。

8、 朝寝坊
朝寝坊は、一見、初心者の体験と思われがちだが、しかし、人間の頭はそこまで利口にはできていない様子である。忘れ物であったり、朝寝坊は、よほどの天才でない限り、必ず一度は体験するハメになる。
朝寝坊たるやいなや、今、過去、未来、全てを同時に直視せられる状態になり、その時に食べた朝ごはんのレシピは、最も、自分自身の本能がむき出しに表現されていると言える。

9、 始末書
始末書は、名前がいい。
不祥事を始末する事自体が、タイトルそのものになっているとは、なんと不思議な事だろう。
始末書を書いている時の自分の姿や、心境は、非常に絵になる。
始末書は、最も書きたくない書類であるにも関わらず、過ぎてしまった後に振り返ると、異常に心身に対して薬になっている。良薬口に苦しのことわざ通りである。

10、 メシフロネル
自由律俳句の原典とも言える生き方が、メシフロネルである。
いつしか、昭和の男たちの口癖となったそうであるが、たしかに、それしか喋りたくなくなる日は、我々にも、ある。
放哉に自由律の短律を詠まれると、聞き手は返答に屈服せざるを得ない物だが、アスリート並に、仕事の能力が一番高い人間に、「メシフロネル」とだけ言われてしまうと、尊敬せざるを得ないだろう。
この言葉で人を屈服させられるようになる為には、結果と実力を築き上げて行くしかない。

11、 クビ (最終キーワード) 
10つのキーワードを並べあげ、それらの意味を吟味したところ、最終的に、仕事をしていく上で最もインパクトのある日本語は、「クビ」という事になってしまった!?
その言葉を掘り下げる行為は、様々な意味で、厳粛な配慮を求められる事になるが、大橋裸木の一句「陽へ病む」の対句として、

・クビか?    祖啓

という短律の一句が、句として成立する事に気がついた。
仕事の内容が極限を超えた数値になってしまった場合、そのような心境が、人生の様々な一面で脳裏によぎる事態になるようだ?
これ以上、この言葉を掘り下げる事は危険すぎるので自粛をして、そろそろお開きといたしましょう。

以上が、仕事をしていく上で、人の人生を左右するほどの言葉の代表格といえる。

日本人は、たしかに勤勉な国民性。
今も日本のどこかで、不可抗力によるドタキャンが発生し、ドタキャンの事で頭がいっぱいいっぱいになってしまっている日本人が、慌てふためき、世間を彷徨っているに違いない。

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